フランスの賭博規制当局「Autorité nationale des jeux(ANJ)」は、2025年上半期のギャンブル市場が過去最高水準に達したと発表しました。スポーツベッティングが依然として市場成長を牽引する一方、ポーカーは減速、競馬市場は停滞が続いています。ANJの最新報告によると、2025年前期のフランス全体のゲーミング総収益(GGR)は57億ユーロに達し、前年同期比で3.5%増加しました。前年は欧州選手権やパリ五輪などの大型イベントによる特需がありましたが、2025年はそれらがない中でも堅調な伸びを維持しました。
スポーツベッティングが市場の原動力に
今回の報告で最も顕著だったのはオンラインスポーツベッティングの躍進です。
2025年前期のスポーツベットGGRは9億6100万ユーロ(約1,570億円)に達し、前年同期比で10%増。総賭け金も60億ユーロ(約9,800億円)と15%の伸びを示しました。
ANJは「スポーツベッティングは市場を牽引する機関車のような存在」と表現しており、特にテニスの賭け金が急増したと指摘。ローランギャロス(全仏オープン)期間中の賭け金は前年同月比で最大+51%に達しました。また、アクティブなオンラインベッティングアカウント数も増加。2025年前期の登録口座は410万件(前年比+11%)、ユニークプレイヤーは300万人(+10%)となっています。
FDJユナイテッドが業界をリード!ロトとスクラッチが好調
フランス国営宝くじ「FDJ(Française des Jeux)」グループも、2024年にKindredを買収したことを背景に急成長。
グループ全体のGGRは44億ユーロ(+19%)に拡大し、特に国内の独占権を持つ「宝くじ・スポーツベット部門」が好調です。ANJの報告では「物理ネットワーク(店舗・端末)の宝くじとスポーツベッティングは前年同期比+4.4%の成長。中でも抽選型ゲームが+8.8%と高い伸びを示した」と述べています。ユーロミリオンズの長期ジャックポット期間が人気を押し上げた形です。
ポーカーと競馬は伸び悩み
一方で、オンラインポーカーは減速傾向。2025年前期のGGRは2億4600万ユーロ(-4%)と減少しました。ANJは「新規プレイヤーの獲得は続いているが、1人あたりの課金額が減少している」と分析。特にキャッシュゲーム(現金卓)は-15%**の大幅な落ち込みとなりました。
競馬市場も横ばい傾向で、賭け金は7億9500万ユーロ(+1%)にとどまり、GGRは1億7400万ユーロで前年並み。PMUの店舗ベッティング部門は縮小を続け、独占ライツ下のGGRは8億3000万ユーロ(-2.6%)、賭け金も4.2%減少しました。
課税強化と今後の見通し
ANJは、2025年後半の市場動向について「各事業者の戦略と新税制の影響がカギを握る」と警戒を示しています。7月に導入されたギャンブル税の引き上げが収益に与える影響は不透明であるものの、「新規プレイヤーを維持し、引き続きリクルートが進めば成長は継続する可能性がある」としています。
まとめ
スポーツベッティングがフランス経済を再び押し上げる中、ギャンブル市場では、宝くじ事業が堅実に成長し、ポーカーと競馬が調整局面に入っています。デジタル化の進展で賭博産業の勢力図が変化する一方、税制改正と規制の影響をどう乗り越えるかが今後の焦点となります。FDJとANJが主導する市場構造の変化は、欧州の他国にも波及しそうです。スポーツベットが「文化の一部」として定着しつつあるフランスでは、規制と革新のバランスが試される1年になるでしょう。


