英国のギャンブル規制当局である英国賭博委員会(UK Gambling Commission)は、違法ギャンブル広告への対応をめぐり、米テック大手Metaに対する批判を強めています。2026年1月、同委員会の執行ディレクターを務めるティム・ミラー氏は、バルセロナで開催されたICEの場で、FacebookおよびInstagramにおける違法広告問題を名指しで取り上げました。
「Not on GamStop」広告への強い懸念
ミラー氏が特に問題視したのは、「Not on GamStop」と明記されたオンラインカジノ広告の存在です。これらの広告は、英国の自己排除制度であるGamStopを利用しているユーザーを明確に狙っており、ギャンブル被害の再発リスクを高めるものだと指摘されています。
こうした広告が、Metaの広告を通じて継続的に配信されている現状は、消費者保護の観点からも深刻な問題だと同氏は述べました。
Metaの対応姿勢に規制当局が疑問
Metaは、違法ギャンブル広告について「通報を受け次第、削除している」と説明しています。しかし、ミラー氏はこの姿勢に対し、強い疑問を投げかけました。Metaが公開している広告ライブラリでは、特定のキーワード検索を行うだけで、違法とみられるオンラインカジノの有料広告が容易に確認できるためです。
英国賭博委員会は、誰でも見つけられる状況であるにもかかわらず、Metaが把握していないと主張する点について、信頼性に欠けるとしています。
広告収益とユーザー保護の板挟み
ミラー氏は、Metaの広告が企業の主要な収益源である以上、同社がユーザー保護よりも広告収入を優先しているのではないかという懸念を示しました。また、Metaが規制当局に対し、自らAIツールを使って違法広告を特定・通報するよう提案したことについても、「責任を規制側に押し付けている」と批判しています。
この状況により、公的機関が税金を使って巨大プラットフォームの監視を行わざるを得ない構図が生まれていると警告しました。
業界全体へ広がる警告
英国賭博委員会は、今回の発言を通じてMetaだけでなく、正規市場と違法市場の双方に関与するサプライヤーやアフィリエイト、広告主、テクノロジー企業全体にも警鐘を鳴らしています。両市場を同時に支える行為は、規制と非規制の境界を曖昧にし、消費者が正しい選択を行うことを難しくするとしています。
また、正規ライセンスを持つ事業者に対しては、パートナー企業へのデューデリジェンス強化や契約上の制限を通じて、違法事業者への関与を排除するよう求めました。
規制強化と今後の課題
英国賭博委員会は、過去1年間で数百件に及ぶ停止命令やURL削除、違法サイトの遮断を実施しています。今後は政府からの追加資金や、違法ギャンブルに関連するドメインやIPアドレスを停止できる新たな権限の導入も予定されています。
ただし、ミラー氏は「規制当局の取り締まりだけでは問題は解決しない」と強調し、業界および主要プラットフォームとの協力が不可欠であると述べました。
まとめ
英国賭博委員会は、違法ギャンブル市場への関与を商業的に成り立たないものにするため、関係者全体による連携を呼びかけています。規制産業の隣で事業を行う企業に対し、ミラー氏は「どちらの側に立つのかを選ぶ時が来ている」と強く訴えました。
Meta広告をめぐる今回の問題は、SNSプラットフォームとギャンブル規制の関係を改めて問う象徴的な事例となりそうです。


